なんとなく寄ってみた鳥取がとても良かった件(山陰線・砂丘・三朝温泉)

381系スーパーやくも塗装編成の運用終了が差し迫った今日この頃、完全にゆったりやくも世代の私は、スーパーやくも塗装と緑やくも塗装の並びを一度は見たいと思い18きっぷ片手に伯備線へ行くことに。ただ運用上、根雨駅で並びを見た後その日のうちに家に帰れないということでそのまま日本海側へ抜けて米子で泊まることにした。1日目の時点で旅の目的はクリアしているため、2日目は帰るだけなのだが時間があるので鳥取を観光。その鳥取観光が思いのほかうまくいったので、その熱で、鳥取から8時間の帰り道のキハ47の中でこれを書いている。


緑やくもとスーパーやくもの並び(根雨駅

↓目次

早朝のキハ47で行く山陰本線鳥取県区間

まず鳥取といえば鳥取砂丘だが、朝行くと人が少なくて良いと聞いたので米子5:23発の鳥取行き普通列車に乗って向かうことにした。米子は鳥取県の最西部に位置するが、砂丘のある鳥取市は比較的東部に位置するため県を横断する移動となる。所要時間は2時間半。行き違い待ちなどもあるが、横断に2時間半以上かかる地域に人が57万人しか住んでいないと思うと、鳥取県の人口の少なさがわかると思う。

さて山陰本線のこの区間の見所は右に大山蒜山、そして左には日本海と両方にいい景色があることだ。左右どちらに座るかはとても悩ましい。天気に左右されるが運良く晴れで、早朝の澄んだ空気も相まって素晴らしい車窓だった。


右(山)側

左(海)側

そしてここでのポイントは、窓が開けられるかどうかである。国鉄車かつ、周りに人がいない必要があるので早朝の編成の長い列車はおすすめだ。米子5:23発の列車はキハ47の4両編成だったため、一番後ろの車両を米子からしばらくは独占し窓を開けて車窓と流れ込む朝の風を楽しむことができた。


キハ47と山並み


広すぎて、何もなさすぎて意志力がいる鳥取砂丘

鳥取の一大観光地鳥取砂丘へは鳥取駅からバスで20分。バスは、人口が少ないとはいえ、県庁所在地として栄える鳥取市街地や鳥取城の麓を抜けていく。鳥取=田舎という印象を持っているとここで驚くことになるだろう。市街地を過ぎ砂丘トンネルというそのまま過ぎるネーミングのトンネルを抜けると砂丘はもうすぐだ。砂丘まで直接乗り付けてくれるバス以外にも、「砂丘東口」というバス停に停まるのバスもあり、両方アクセスに利用できるので注意が必要だ。


砂丘トンネル

道路から砂になっているところまでの経路は決まっているが、そこからは特に道はなくあちこちに足跡があるだけという状態になるため、砂場をどこに向かって歩くのか、自分の意志が必要になってくる。たいてい観光地というのは見物ルートが決まっているもので、そこにエネルギーを使うことはあまりないだろう。福井県東尋坊鳥取砂丘と同じく意志力がいる観光地だと思うが、そちらは意志がありすぎると危険に晒されてしまう。その気になればどこまでもいけてしまうという点では類似観光地だろうなと砂場を歩きながら思っていた。(2週間前に東尋坊を訪れている)しかし「馬の背」という、山でいう稜線にあたるような、行くべきとされている高台のスポットが一応ある。日本海を見渡せてたしかに綺麗だ。


馬の背とオアシス

そしてここから東尋坊で鍛えられた(?)意志力で、私は砂丘トンネルを出てすぐの、砂丘最寄りバス停から一つお隣のバス停へ、砂丘の人気のないエリアを歩いて向かうことにした。人が踏んでいないところでは風紋が綺麗に観察できる。


風紋

しかし見た目よりも上り下りが大きくしんどい、暑い。また砂丘から道へつながる通路が目視できるわけではないので、GoogleMapを見ながらそれっぽい方角へ歩いていくしかない。砂漠に住む人は大変だろうな、など浅はかな想像をしてしまう。なんとかバス停にたどり着き、靴は外も中も砂まみれ。しかしそれが砂丘を訪れた一番の証だ。


熱湯の三朝温泉

砂丘を見終わった後は特急スーパーはくとに乗って県中心部にある街、倉吉へ向かう。その道中スーパーはくと号では車内のインフォメーションボードで観光情報を流しているようで、倉吉駅から行ける観光地の中で三朝温泉が案内されていた。こういう情報も見ておくものだ。温泉の存在など知らず、帰りに、何回も行ったことはあるけれど城崎温泉にでも入って帰ろうかと考えていた私だったので、さん→変換、あさ→変換、温泉とすぐに調べた。これは観光地検索プチあるあるだろう。「みささ」という読みはどこかかわいい。温泉には人体には影響しないほどの放射性物質ラドンが含まれている、公衆浴場がありとても熱いという情報を持って、例によってバスに乗り、倉吉市内観光を終えた私は三朝温泉へ向かった。

さっそく公衆浴場「株湯」へ。温泉街中心の川沿いからは少し離れているが、バス停が近くにあるため問題はない上、歩ける距離だ。建物の前には飲泉と足湯があり、飲んでみたが正直なんとなくの違和感以上のことは感じられなかった。


飲泉

建物の中はそこまで広くなく、最低限脱衣所と浴室があるのみだ。受付でも「かなり熱いので身体を慣らしながら無理のないように入ってください、熱いので。」と念を押された。源泉掛け流しとなっていて、絶えず湯気がたち見るからに熱そう。ビクビクしながら足をいれるとやけどするようなヒリヒリに襲われる。脚は次第に慣れてくる(というか麻痺だと思う)がなかなか全身浸かるのは難しいほどの熱湯。結局全身浸かったのは1分ちょっと、入浴全体でも3,4分だっただろう。もう一人浴室にいたおそらく地元の人はどういう目で私を見ていただろうか。

涼しい風を浴びながら中心地へと歩く。雰囲気がとても自分好みで、ちょうど桜の季節だというのもあり、今までの観光地の中でもトップクラスに心地いい場所に感じた。18きっぷなんか捨ててここで泊まってしまいたいくらいに。


人が少ないのも良い雰囲気を演出している。平日というのもあるが、町並み自体がそこまで栄えている感じではない。非日常を求めて旅しているこちらとしてはとても心地良いけれど、観光を商売にする側にとっては良いことではないなと複雑な気分にはなってくる。ただ本当に最高の観光地だ。

温泉街を端から端まで歩き、「温泉入口」バス停まで来ると近くに足湯がある。バスを待っている間足湯に浸かっていられるのだ。なんと悪魔的な配置だろう。帰りたくない、また来たいと思ってくる。最高の温泉地だった。大阪・岡山からも直接高速バスで来られるようで、また絶対に来ることを誓わされた。


バス停近くの足湯(橋の上にあるのも珍しい)

バス停の雰囲気も良い


日本の観光キリなくない?

今回こうして鳥取をゆるく観光したわけだが、早朝出発が功を奏したり、偶然にも温泉地を知ったりと良い旅になったと思う。でもこれが鳥取のすべてではもちろんない。ここで思うのが「観光って、キリなくない?」ということだ。私はこの4月から大学生というおそらく最も旅行しやすい身分となる。きっとどれだけ旅行してもキリのなさを感じることと思うが、いろんな観光をする、いろんな観光地に行くとここに決意を固める。まずは労働を頑張る必要がありそうだ。




最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。帰りに鳥取から書き始めたこの記事ですが、今この部分を書いているのは福知山線の車内です。なんとか帰るまでに書き終えられそうです。実は、この旅行は記事にしようと思って書き始めたものがいくつかあるのですが、どれも書き終えられていません。鉄は熱いうちに打てとはこのことですね。今後の旅の様子や思ったこともこのブログに書いていこうと思っておりますので、また読んでいただけると嬉しいです。